9月16日(水)に、田原福祉専門学校の河合生恵先生を講師としてお招きし、1年生が福祉体験学習を行いました。1年生は、「僕らは社会の助け人」をテーマに掲げ、総合的な学習の時間に福祉について学んでおり、この福祉体験学習もその一環となります。
初めに、講師の河合先生から福祉の仕事についてのお話を聴きました。河合先生は、生徒達に「福祉とは幸せや豊かさを意味する言葉で、その人らしい生活をするために必要なことをお手伝いすることです。それを実現するためには、自分の周り、特に高齢者や障がい者の皆さんのふだんと違った様子に気づき、どうしたのかなと考え、何か手伝えることはありませんかと声をかけ、自分にできることを手伝わせていただくことが大切です。」と話されました。
お話の後、演習1として、からだが不自由な方の疑似体験を三つしました。一つ目は、利き手が麻痺の状態で、折り紙で飛行機を折るという体験でした。生徒達は床に折り紙を置き、利き手とは反対の手を使い、四苦八苦しながら飛行機を折っていました。中には足を使って紙を押さえる生徒もおり、河合先生から、「からだが不自由な方は、そのように使えるところをすべて使います。」とほめられていました。二つ目は、利き手でない方の手を握り、腕を胸につけた状態で着替えをしてみるという体験でした。着替えには長袖の体操服を使いましたが、なかなかそでに腕を通せなかったり、えりから頭を出せなかったりと、これにも生徒達はかなり苦戦をしていました。この体験が終わった後、河合先生から、「脱ぐときは良い方の腕から脱ぎ、着るときは痛い方の腕から着るといいです。」と教えてもらいました。三つ目は、立ち上がりの支援でした。河合先生から、「人は立ち上がるとき体を少し前に倒し、それから立ち上がるというのが自然な動きなので、それに合わせた支援をすることが必要です。」と教えてもらいました。この立ち上がりの支援は、生徒達は上手にできたと思います。
次に、福祉施設に行ったときに何を話したら良いか、また、どんな風に接したら良いか等の接し方のポイントを教えてもらいました。その中で、演習2として、コミュニケーション・エクササイズに取り組みました。これは、聴き手の姿勢によって話し手の満足度が変わることを体験するものです。具体的には、聞き手が視線を合わせずに横を向いていたり、無表情であったりする場合と、笑顔でうなずいたり、相手の目や口元を見ながら一生懸命反応したりする場合とでは、話し手の満足度に大きな差が出ることを学ぶというものです。体験の後、河合先生から、「人の話をきくときのきくには、『聞く』と『聴く』があります。『聞く』は相手の言葉をそのまま、言葉通りに受け取ることであるのに対し、『聴く』は相手の言葉の奥にある気持ちにまで耳を傾けることです。福祉を行う上で重要なのは『聴く』であり、そのためには耳と目と心を十分に使わなければなりません。」と教えてもらいました。
最後に、「介護の仕事」というDVD映像を視聴しました。そこに登場される皆さんの「介護の仕事は、人と関わる仕事であり、自分の力や思いが直接人に届く手応えとやりがいのある仕事です。また、自分の力で介護者さんの笑顔や可能性を引き出せる仕事で、介護者さんから感謝されたり、頼りにされたりする喜びは大きい。」という言葉が印象的でした。
生徒代表が「福祉というと介護というイメージが強かったですが、自分にできることをすることも福祉だと分かりました。」と、河合先生にお礼の言葉を述べましたが、生徒達の福祉に対するイメージがこの学習を通して少し広がったようです。今後も学校では、生徒達が福祉について学び、実践を重ねていけるよう支援していきたいと思います。
【講師:河合生恵先生のお話】 【演習1:折り紙】
【演習1:着替え】 【演習1:立ち上がりの支援】
【演習2:コミュニケーション・エクササイズ①】 【演習2:コミュニケーション・エクササイズ②】
【感想を記入する生徒達】 【生徒代表お礼の言葉】